「エフォートレス思考」の原書 書評と要約
ブラジルへの移動フライト中に「エフォートレス思考」の原書 “Effortless” を読了したので書評を書きました。
- 人生での最優先事項に集中して頑張っているのにいっぱいいっぱいで辛い方
- もっと貢献したいのに心も身体も燃え尽きてしまいそうな方
エフォートレス思考の原書ってどんな本?
その前にまず「『エフォートレス』ってどういう意味なの?」となる方もいらっしゃるかと思うのでそこから見ます。
無理は最小に恩恵は最大にする思考
英語の「エフォートレス」の意味は僕が愛用しているメリアム・ウェブスター米国英英辞典では
ですが、実際には「ラクラク・楽勝・かんたん」のニュアンスがかなり近いです。その意味がこめられた本書は
- 頑張り過ぎ中毒に毒されていないか自問し、
- いくつかの思考と行動のコツで努力を最小化し最大の実りを得ることができる
- 万能ではないが、正しく用いればかなり生きやすくなる
に集約されます。
エフォートレス思考の原書: エッセンシャル思考の進化形
読み始めですぐ前作「エッセンシャル思考」(Essentialism)よりもパワーアップしてると感じました。
内容がエッセンシャル思考のその先を行っているのもそうですが、
と前作出版後のさらなる努力のあとが感じられました。
エフォートレス思考:著者は「エッセンシャル思考」のグレッグ
著者グレッグ・マキューン氏は「エッセンシャル思考(原書: Essentialism)」を書いた人。詳しくは☟こちら「エッセンシャル思考」の原書書評をご覧ください☟
逆に考える: ラクにやる方法をみつけよう
第1章のタイトル”INVERT (転回)”ですが、原書を読むといわゆる
「まて、逆に考えるんだ」
の意味で著者がinvertという単語を使っているのが分かります。要するに
今以上に【必死にがんばる】べきだ、ではなく、じつはその逆で【いかに簡単により大きな成果をあげるか】に集中すべきだ
の意味のinvert (=さかさま・逆にする) なのです。
この視点は以下に引用する部分にいちばん端的に表れています。
Puritanism went beyond embracing the hard; It extended to also distrusting the easy.
(Ch 1, Invert: What if this could be easy? Effortless, Greg McKeown)
【和訳】ピューリタン主義は「難しいこと」に取組むことを奨励するだけでなく、「容易なこと」を軽蔑するレベルにまで先鋭化してしまった
*和訳はJ3による
ピューリタン主義(米国・英国に多い清教徒主義で雑にいうと【努力第一主義】)について言ってるのですが、この「ピューリタン主義」を「日本人」に置きかえても充分に意味が通るな、と僕は思います。
ちなみに実際みてると「燃え尽き症候群」(バーンアウト)になってしまうのは日本人だけでなく米国人も同じ(とくにホワイトカラートップ層)
傾聴:他人の立場を考える
第3章で著者は「傾聴」「他人に自分の勝手な決めつけで中途半端なアドバイスをしないこと」の大切さを説きます。
他人に対しジャッジメンタルになりがちな心理をうまくコントロールし思考を整理する訓練方法も紹介されており、実践的で良い!と思いました。
【ジャッジメンタルな考えとは?】はこちらの記事にも書いています☟
ゴールは詳しく、ハッキリ描く
「ゴールを明確に、詳細に描くことが目標達成の後押しするだけでなく、先延ばしも防ぐ」
と著者グレッグは説きます。
ですがここをやらない人ってすごく多い気がします。
たとえば「英語が話せるようになりたいとぼんやり思っていたらあっというまに10年20年経ってしまった」の例は枚挙にいとまがありません。時間も体力も有限であることを自覚するためにも明確で具体的なゴール設定は必須と感じます。
読書: 知の巨人たちの肩にラクに乗る方法
著者グレッグが主張する「読書は大事、とくに古典的ベストセラーを読め」。
僕自身も近年はそうなってきており、流行りの作家の新刊出た!のニュースに飛びつくことがなくなりました。
「巨人の肩に乗る」という表現がありますが、本を読めば自分より何倍も賢い世界中の「知の巨人」たちが書いてくれた知識が2千円も出さずに手に入ります。コスパ良すぎです。
信頼:インテグリティをおもんじる人と組もう
本書はインテグリティ(=ゆるぎない倫理観)の重要さを説いています。14章であのウォレン・バフェットもインテグリティを最も重要視していることを強調しており、著者グレッグも”The Three I’s Rule” と同意しています。
ちなみに僕がこれまで見聞きした経験では、外資とくに米国系の一流投資銀行・戦略コンサル・投資顧問会社あたりではintegrity, leadership, accountability, ownership辺りはぺーぺーの新卒新兵時代からイヤというほど叩き込まれます。英語圏のビジネス界はインテグリティが重んじられるのです。
とはいえ外資系企業の中でも「事業会社」の日本支社では、それほど厳しく言わない印象です
著者グレッグと家族に降りかかった苦難
本書には著者グレッグの娘さんが難病を発症したエピソードが出てきます。
それを読んで前作出版後グレッグもご家族もこんな大変な思いをしていたのか!と驚きましたが、一読者として娘さんの具合が良い状態に安定することを心から祈ります。
上の事情を知った上で最終章で彼が「now」という単語の意味を説明する部分を読むと、言葉のひとつひとつがより重く心に響いてきました…
エフォートレス思考の原書 書評のまとめ
著者グレッグが序章で
“Essentialism was about doing the right things; Effortless is about doing them in the right way.”
と宣言した通り、本書は前作エッセンシャル思考のその先にある本だと感じました。読んでない方にもおすすめですが、エッセンシャル思考を読了した方には特におすすめです。
今回は以上です。最後まで読んで下さってありがとうございました。