ある日いきなり子猫を育てることになった話
今回は去年2023年の3月にとつぜん生後間もない子猫3匹を育てることになった当時のことを振り返ってみます。
- 生後間もない子猫を保護したらさしあたって何をすればいいかと、
- 子猫を迎えるにあたりまず最初にそろえるべきグッズは何か
が分かります
そもそもなぜ子猫を育てることになったのか
去年3月9日の自分のX(旧Twitter)の投稿をふり返るとこんなことを言っていました。
これでは経緯が分からないので、ここでちょっと2023年3月9日の夜まで時間を巻き戻しますね。
その晩は久しぶりに友人A(シンガポール華僑)と会う約束だったのだが、WhatsApp(日本のLINEみたいなもの)で会話したときのAの様子がおかしかった。
実際には友人A氏との会話はすべて英語なのですが、ここから適宜和訳してお届けいたします
…ペットショップ?? Aは動物飼ってないのに…(それに何だこの謎のリンク…)
と一瞬だけ思ったものの、忙しかったので深く考えず仕事を終え、僕は帰宅(当時はまだ会社員として勤務していた)。
その後Aにチャットで話しかけたり電話かけたりしてみたものの応答なし。不思議に思いつつも自宅でひとり軽く食事。
そして午後9時少し前、僕のコンド(日本でいうタワマン)のインターコムが鳴った。スマホアプリからセキュリティカメラの画面を確認すると、大きめの箱を抱えて玄関カメラ前に立つ親友Aの姿がある。
なんだあの箱…⁇と思いつつ開門するとAは、
「遅くなった。説明するっていったのは、これだ」
と大事そうに抱えていたその大きめの段ボール箱をテーブルの上にそっと置き、開いた。
すると中に入っていたのは
まだ目も開いていない猫の赤ん坊が3匹も!!!いったいどこにいたのか、全員ちいさな足が真っ黒によごれている。どうしたんこれ? と聞くと
A:「夕方5時半頃に父の会社に寄ったら社員の人が『会社倉庫の裏に野良猫が子猫たちを置いていったまま丸一日戻ってこない。このままでは残された子猫3匹が死んでしまう』と言うので見に行った」
「するとほんとに倉庫裏の草むらに弱ってぐったりしているこの3匹がいた。2時間待ってみたが親は戻ってこない。あの辺りは工業地帯だからな。夜はでかいドブネズミやヘビが出るし、危険だから保護した」
僕: 「じゃあお父さんの家で保護しろよ」(*シンガポールでは独身者は実家で両親と暮らすのが一般的。もちろんAもそうしている)
A: 「だめだ!うちの両親は動物嫌いだから。とにかくこいつら飢えて弱ってるから、ミルクを飲ませるのが先決だ。ミルク作るぞ!猫用ミルク粉末・シリンジ・哺乳瓶は買ってきてある」
とAはキッチンへ向かう。
ほ、哺乳瓶…!この単語を僕(未婚・一人暮らし)の家の中で聞く日がくるとは!
しかし同時に僕はAのご両親と彼らが暮らす邸宅を頭に思い出していた。
緑の芝生が広がり完璧なまでに整えられた庭園。いつ訪問してもほこり一つ、髪の毛一本すら落ちていない大理石の床。ぴかぴかに磨き上げられたローズウッドの家具や高価な調度品たち。
そしてお上品なご両親の顔。「まあきたない!野良猫なんてうちには相応しくありません!」と顔をゆがませて叫ぶAママの声が聞こえてくるようだ。
ああ…これはAのいうとおり無理…
ちなみにAはそれまで動物を飼った経験は皆無である。動物を毛嫌いするご両親のもとで育ったのだから当たり前だ。
かたや僕は大型犬・猫・ウサギ・インコなどなど、いろいろ飼っている家庭で育ったものの、赤ん坊の猫に関してだけは育てた経験も知識もほぼゼロ。困った!
ともかくこのKMRという商標名の子猫用ミルク缶に書いてある指示に従って湯を沸かしミルクを用意した。
これまで見たこともないほど小さな哺乳瓶を右手に持ち、Aと僕は左手にすっぽりおさまるほど小さな子猫3匹に、慣れない手つきでミルクを与えた。
子猫三匹が満腹になったらしいところでそっとペーパータオルがしきつめられた段ボール箱の中へ戻す。
「Goodnight, little sleepyheads (おやすみ、おねむのチビたち)…」
とそっとささやき、箱を閉じるとAは振り返って僕の目を見ながら静かに言った。
「たのむ、J。三日、長くて一週間、すまないけどこいつらをこの家に住ませてやってくれ。このままではこいつらは死ぬ。世話はぜんぶ俺がやるし、一週間以内にほかの引き取り手を俺が責任持って見つけるから。それまでたのむ!」
(マジか。あ、頭いたくなってきた…)
しかしAの目は真剣だ。
こいつの頼みには僕も真剣に向き合って応えねばなるまい。Aは僕達が留学先の米国の大学に入学した当初から10年来の親友なのだ。
ふう、と静かに深く息をつき目を閉じる。
再度息を吸いAの目をまっすぐ見て僕は言った。
「…長くて一週間だな?」
こうして赤ん坊の猫の飼育についてほぼほぼ知識がないまま、アラサー独身男子2人が幼い子猫3匹を保護し助けようと奮闘する毎日が幕を開けたのであった。
と以上が子猫三匹がいきなり僕の家にやってきた夜の様子でした。
一週間以内に里親探すなんてとんだ無理ゲーだったけどな!
結局一年半たっても子猫三匹は僕の家で暮らしています(まあその話はまたべつの機会に)。
ここからは僕たちが乳飲み子の子猫を飼育するためにそろえたグッズや、子猫保護にあたっての当座の注意事項を紹介します。
子猫を迎える時の準備 – 子猫飼育グッズ
それでは子猫3匹を保護した直後に僕とAが用意した子猫飼育グッズと、子猫を迎えるに際しての当座の注意事項について紹介していきます。
*シンガポールで生後7日くらいの赤ちゃん猫を保護した場合について書きますが、ほかの国で赤ちゃん猫を保護した時に応用できるポイントも多いと思うので、興味のある方はご一読下さい。
猫用トイレ
僕たちが選んだトイレは下の写真のとおり、ごくシンプルなトレイ型です。
*猫トイレの中に敷いてあるのは豆腐のおからが原料の猫砂。ラベンダーの香りがついており、それ風の着色がしてある
とはいえ生後7日くらいの赤ん坊の子猫だと自力で排泄することができないので、世話する人が人肌くらいの温度のぬるま湯にペーパータオルをさっとつけたもので子猫のお尻をトントンとやさしくタップして排泄をうながしてやります。
まだ歩行もままならないので人間がトイレに子猫を運んで行ってやり排泄を見届けて寝床へもどすことになります。
なんと僕たちは赤ん坊の猫が自力で排泄できないことすら知らず、保護して2日めに「なんで排便しないんだ⁈」と慌ててググって初めてやり方を知りました…
補足: 猫用トイレ掃除スコップも忘れずに用意しましょう。
猫トイレ用砂(ペレット)
猫トイレ用の砂、いわゆる「猫砂」は尿を吸収し固まるもの(clumpingのタイプ)、かつ少し猫の口に入っても安全なものでトイレに流せるタイプの豆腐原料のものを僕たちは使っています。
ほかにも生物分解性(biodegradable)の麦・トウモロコシ・大豆の繊維で作られたclumpingタイプなど環境にやさしく掃除しやすい種類の猫砂が数種類出回っています。
シンガポールでは猫砂 (cat litter)はPet Lover’s Centre やCatSmart、Shopeeあたりでオンラインか店頭または電話で注文して買えます。
赤ちゃん猫用ミルク
僕たちは上の写真でお見せした通り、KMRというブランドのものを使ってました。もちろん猫の赤ちゃん用です。
*よくドラマで子猫に牛乳を飲ませる場面が出てきますが、あれは真似したらダメです。
猫の母乳と牛乳とでは全く異なるので、生後間もない子猫を保護したら赤ちゃん猫用のミルクを与えましょう。
湯たんぽ
「生後間もない赤ちゃん猫は体温調節があまりできないせいで低体温になる危険があるので湯たんぽ(*もちろん熱くないように密閉しカバーをかける)があるとよい」
と本やネットにも書いてあるし獣医師もそう教えてくれます。
…ですが、実際は僕たちの経験では湯たんぽはほとんど使いませんでした(用意はしたけど実際に使った期間は1週間もなかった)。使わなかった理由は、
- シンガポールは常夏の国だから
- 猫部屋にエアコンきかせまくることはなかったから
- 子猫は三匹で身をよせ合ってお互いを暖めることで充分らしく、バスタオルさえあれば快適な様子だったから
シンガポールでも猫部屋に24時間365日エアコンをずーーっと24℃以下できかせているようなお宅の場合は、湯たんぽを使う方がよいとは思います。
*もちろん日本その他、熱帯気候ではない国では湯たんぽを使うのがベストだと思います。
掃除・入浴関連グッズ
とりあえずそろえたのは以下です。
- ペット用のウェットワイプ
- ペットシート
- タオル(フェイスタオル・バスタオルのサイズ両方)
- 子猫洗い用シャンプー
子猫の入浴については
この子猫についてるノミを洗い落とすのがけっこう難しいんですよ。猫は犬よりももっと下毛が密集しているので一度の入浴では落としきれないものです。僕たちの子猫の場合も完全にノミ除去できるまでしばらくかかりました。
子猫用キャリーケース・キャリーバッグ
子猫を運ぶキャリーケースまたはキャリーバッグは子猫を迎える初日くらいから必須です。獣医師へ初めての健康チェックを受けさせに連れていくのにも超重要です(*僕の場合のように赤ん坊の猫を保護したら早急に獣医師に健康チェックしてもらいに診せる必要があります)
まだミルクを飲んでいるくらい幼い赤ちゃん猫だとハードでもソフトでも、どちらのタイプのキャリーバッグもOKと思います(まだ猫のサイズが小さいので)。
僕が獣医師に子猫(2カ月くらいの頃)を診せに行った時ですが、前後2か所のみ開くタイプのキャリーバックを使ったところ、子猫がバッグの奥へ逃げ込んでしまって取り出しにくかったです
動物クリニックでよけいな時間を食うと子猫に余計なストレスがかかるから、あまりよくないな
こうならないためにも子猫を運ぶ用のキャリーバッグはトップが大きく開き、前後2か所も開くものが良いです。
赤ちゃん猫用サークル・ペット用マット
幼い子猫の安全を守るためにはペット用サークルが役立ちました。ペット用防水マットも必須アイテムです。
赤ちゃん猫用サークル
“Playpen for pet”, “pet fence indoor” (←これらが日本語でいう『ペット用サークル』)でググって通販で買いました。サイズは2m x 3mの範囲を囲えるものを使ってました。
生後7日くらいの赤ん坊の猫なら歩行もままならないのでこれで十分でした。(下の写真は生後1カ月くらいの頃のものです)
ペット用床マット
ペット用床マットは英語では”waterproof pet play mat / carpet”とか”anti-slip pet carpet” でググると多種出てきます。
上の写真に写っていますが、友人Aがどこからか人間の乳幼児を育てる時期に使うようなタイプの防水カーペットを入手してきたので、猫部屋の床にそれを敷き、周りをペット用フェンス(上の写真で左側に写ってる白い木製のフェンス)で囲って子猫たちを住まわせていました。
その他あれば良いもの
子猫のおもちゃ
生後7日~2ヶ月頃であればまだ幼いのでボール・猫じゃらし・ねずみなど小動物の小さなぬいぐるみ等のやわらかい素材のおもちゃがよいかな、と思います。実際僕たちもそんな感じでした。
猫用ベッド
Cat Cave (日本でいうドーム型・かまくら式ハウス)も用意しました。子猫の性質として暗いあなぐらのような所の方が安心できるので、定期的に入ってくつろぐためにも備えておくと良いそうです。
上の写真にも写っていますが、☟こいつ☟のことです。たしかに子猫たちはこの大きくあいた口の中に入って休んだり眠ったりしてましたね。
まとめ
生後一週間ほどの赤ちゃん猫3匹を保護した当時の様子・必要なグッズや知識を紹介しました。
とはいえ上記情報は赤ちゃん猫保護直後に必要な【当座の】物資・知識のみです。それ以後の飼育活動にはさらに物資・知識が必要となります。それらはこれから適宜追加していきます。
これから幼い子猫を迎えようとお考えの方、またはいきなり赤ん坊の猫を保護することになった方のお役に少しでも立てれば幸いです。最後まで読んで下さって有難うございました。